2014年4月1日火曜日

腹式呼吸について

「腹式呼吸法」として、よく紹介されているのは

息を吸う際に、お腹を膨らまし、息をはく際には

お腹をへこましていくというものです。


「腹式呼吸は、健康によい」という概念が

一般的になっている印象があります。

私自身も、特に疑うことなく、そのように捉え、

信じてもいました。



けれども、日々のセッションを重ねる中で、

「必ずしも、そうではないようだ」と考えが

変化してきました。



その理由として、腹式呼吸を実践しているという方、

特に長期に取り組み習慣化している方は、

胸郭の可動性が低下してしまっていることが

あるのです。

さらに、腹壁を形成する筋肉も伸びきったようになり、

腹壁を適度に緊張させることが難しくなっていたり

します(いわゆる、“ポッコリお腹”ですね)。

そして、そういった状況に対して、自然な胸郭の動きが

できるように促していくと、「空気がいっぱい吸える」

「息が楽になった」という感想をいただきます。

(興味深いことに、ポッコリお腹が解消されていきます)



腹式呼吸の目的は、「呼吸の際の、横隔膜の働きを

意識し、深い呼吸をすること」であると理解しています。

そして、病気だとか、意識がないとか特殊な状況でなければ、

呼吸の際、横隔膜が全く働かないということは考えにくい

ものです。

従って、「横隔膜の働きを意識~」が目的なのであれば、

ことさら、お腹を膨らませたり、ひっこめたりするような

運動をする必要はなく、

「身体の力を抜きやすい楽な姿勢をとり、呼吸に伴って

下腹部のあたりも微かに動いていることに意識を向ける」

だけで十分だろうと考えるようになりました。

更には、「下腹部ばかりでなく、胸郭を含めた体幹

全体が微かに動きながら呼吸している」ということも

大事なように思います。

ポイントは、「お腹を動かすことよりも、お腹の動きを

感じられるようなリラックスした状態をつくること」に

なります。


結局、忙しい毎日の中で、「呼吸が浅くなっていないか」と

時折、自身の身体に関心を持つことが大事なようです。





2014年3月30日日曜日

鼻の通りと 首の関係

セッションの際、呼吸に関わる部位に

働きかけると、“鼻の通り”が良くなった

ように感じることがあります。


単純に、胸郭の動きがよくなり、肺に

出入りする空気の量が増えたためだけ

ではないようです。


というのは、頸部(首)の緊張が取れた時にも

“鼻の通り”が良くなることがあるからです。


身体の認知という面からみれば、リラクゼーションが

得られた時に、普段よりも、より繊細な身体の感覚に

気づくことができたと考えることができるかも知れません。


身体の構造の変化という面からみれば、

頸部のアライメント、つまり、頭から肩にかけての

並び(姿勢)が変化することで、身体の中の

空気の通り道(気道)、特に鼻から喉の部分に

変化が起こるからではないかと考えています。


また、頸部の上位(頭に近い部分)のアライメントや

保持の状態が変わると、自身の呼吸音が急に大きく

なったように感じることもあります(最初は、耳障りに

感じますが次第に落ち着きます)。

これは、気流の変化という要因のみでは、説明が

難しいように思います。

頸部への働きかけにより、耳の聞こえ方が

良くなったという報告もあり、恐らくは、耳管

(耳の中と喉の奥とでつながる管)の開閉の程度

が影響するのではないかと考えています。

耳管というのは、体重の増減などでも、開閉の程度が

変化し、耳鳴りの原因になったり、さらには、

めまいを伴うメニエル氏症候群といわれる症状の

原因にもなったりすると言われています。


頸部のアライメント不良が、肩や首の緊張に伴う不快感

ばかりだけでなく、鼻や耳の機能にも関係するかも

知れないという興味深い現象です。

理解を深めていきたいと思います。