2013年10月18日金曜日

ロルフィング® の効果あれこれ

ロルフィング® の効果について、お問い合わせいただくことが

あります。

セッションを体験した方の感想としては、

「なんだかわからないけど、身体がいい感じになる」と

いうのが、率直なところのようです。


私自身は、理学療法士の資格を持つので、医療者従事者として

「医療の場で役立てることはできないか?」という視点で

自分のワークの効果を考えることもあります。

その視点で観た時、気づくものを以下に挙げます。


・ 生理学的リラクゼーション反応を得ることができる

 生理学的リラクゼーション反応とは、心拍と呼吸のペースが

 遅くなり、血圧も下がり、筋肉の緊張がとけるといったものです。

 これは、セッション毎に認められ、かつ、セッションを重ねることで

 反応が得やすくなる印象があります。

 生理学的リラクゼーション反応が得られた状態では、脳も休息を

 とるといわれ、日常のストレスや自己コントロールによる疲労から

 回復するのに最もよい方法のひとつだそうです。



・ 慢性的な症状の軽減

 年単位で比較したとき、以前より慢性的な症状がコントロールされて

 いると感想をいただきます。

 ここでの慢性的な症状とは、腰痛(繰り返されるギックリ腰を含む)、

 肩こり、頭痛、喘息による呼吸苦、身体の冷感(冷え性)、

 全身倦怠感や疲れやすさなどを言います。

 また、これらの症状には、医療的な処置が必要なことがありますから、

 事前に医療機関で検査を受けられることを、お薦めしています。



・ 自動関節可動域の拡大

 運動するときの関節の動く範囲を、関節可動域といいます。

 自動関節可動域といった場合は、他者の助けを借りずに動くときの

 関節の動く範囲ということになります。

 自動関節可動域が広がる前提として、他動関節可動域の拡大が

 あるのですが、他動関節可動域が拡大しても、痛みや運動のクセ

 などの要素が絡み、自動関節可動域が拡大しないことがあります。

 ロルフィングでは、自動関節可動域の拡大が比較的容易に得られる

 印象があります。

 これは、リハビリテーション場面において、理学療法士としては、

 とても重宝するものです。

 また、四肢(手や脚)の関節可動域が広がることも大事ですが、首や

 背中、腰といった脊柱・体幹の関節可動域が広がると、かなり身体は

 心地よく感じ、日常の不快感も減るものです。

 自動関節可動域が変わることは、運動様式(動き方)も変化するとも

 いえると考えます。他者が受ける印象や体型にまで、変化が認められる

 こともあります。

 

・ よく眠れるようになる

 就寝時のつらさなどを感じる方も、いらっしゃいます。 セッションの中で、

 睡眠時無呼吸症候群の傾向をお持ちと気づき、お伝えすることもあります。

 また、単純に仰臥位(仰向けで寝ること)がつらい方もいらっしゃいます。

 歯ぎしりなども、就寝時のつらさのひとつでしょう。

 セッション後の生活の中で、そういった就寝時のつらさが軽減しているのを

 感じると感想をいただいています。



興味深いのは、セッション直後よりも、その後の生活の中で、上述したような

効果が、深まっていくのを感じるとおっしゃる方が多いことです。


以上、理学療法士の視点で、ロルフィングの効果について考えてみました。

理学療法士(医療従事者)としての視点で、関心を持ち続けたいというのは、

私個人の興味の範囲を出るところではありません。



ロルファーとしては、身体のバランス(主に膜組織系の張力のバランス)に

興味を注ぎ、身体や生命、そのものを尊重していきたいと思います。

もちろん、日々のセッションを楽しみ、出会いや関わりの妙に感謝して

いきたいとも思っています。


クライアント様の期待や感心の持ち方、効果判定の尺度、現状を変えたいと

望む気持ちは、それぞれです。

ロルフィングの効果を、どう感じるかということについては、クライアント様に

委ね、それぞれのペースで楽しみ、親しんで頂ければと思うのです。






2013年10月6日日曜日

母になることによって起こる身体の変化

産前・産後のエクササイズの必要なことは、

一般的に言われるようになっています。



妊娠中の方や、産後2年目くらいまでの方と

セッションして感じることは、

「その時期の女性の身体は、とても変化しやすい」

ということ。


ワークへの反応が、とても早いし、速いのです。

まるで、ワークを受けなれた人のような反応の良さ、

言い換えれば、敏感さがあります。



おそらく、ホルモンの影響が多いのだろうと考えていました。

エストロゲンやプロゲステロンというホルモンの分泌量が増える

ことはよく知られています。

また、リラキシンというホルモンは、「関節を緩める」作用を

持つそうですから、身体のバランスにも影響しそうです。



妊娠中は、約1年の間に、体重や体型が変化するので、

身体のバランスに影響しそうなことは、想像が易いです。

これに、リラキシンの影響があるのだろうと考えていましたが、

リラキシンの分泌は、「妊娠3ヶ月~産後2,3日」と「月経前」なので、

産後への影響は少ないことになります。

エストロゲンやプロゲステロンも分泌量が減り、気分の不安定さ

などの一因になるだろうと言われています。





すると疑問になってくるのが、

「産後2年目くらいの方のワークへの反応の良さ・敏感さ」です。

「子育てに追われているから」なのかなと考えましたが、

一般的に、「疲れている方の身体は、反応が鈍い」ものです。

きっと、身体が変化するにもエネルギーが必要なのでしょう。

疲れが蓄積していると、いわゆる“ガス欠”状態で、変化する

ためのエネルギーも生み出しづりらいのかも知れません。

では、なぜ、「反応が良い」のか?

おそらく、日々の子育ての中で、お子さんを抱き上げたりする

ような動きが、「ほどよい全身運動になっている」のだろうと

考えました。




ただ、反対に、その時期は、ご本人が、意識するしないに関わらず、

「変化に翻弄される時期」でもあります。

腰や肩、あるいは全身が重く感じるようになったり、お腹の張りが

きつかったり、眠れなくなったりといったことを体感することになります。

より具体的にいうと、腰から腿(腰部から股関節)にかけての左右差が

生じていたり、背骨の動きづらさや捻じれなどが生じていたりと

いったことに、セッションの中で気づきます。



母になり、小さなお子さんと関わるのは、時にストレスともなりますが、

良い刺激と運動の機会を与えてくれる営みでもある。



。。。。。といったことが、

「妊娠中や産後2年くらいまでの方の、ワークへの反応の良さ」

の背景にありそうだと考えがまとまってきました。