2015年7月17日金曜日

ペダリングと ロルフィング®

この数か月、自転車に乗ることを趣味にしている方や

職業として乗っていらっしゃる方とのセッションを経験して

私自身の考えやワークが深まった感があります。



自転車に乗った時にペダリングのバランスが良いと

力のロスを軽減することができます。

それは、推進力の得やすさであったり、運動の継続によって

起こる疲労の割合を減らすと考えることができます。


その状態をペダリング・モニターというもので、数値化したり

視覚化するという試みもされています。



ペダリングへの直接的な作用は、脚力(左右の脚の運動に

よって起こる筋出力)によってもたらされますが、その脚力を

十分に活かすことができるかどうかは、腕の力(上肢筋力)や

腹筋・背筋といった体幹の固定性、身体全体のフォームや

協調性によるところが大きいと考えられています。

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ペダリングの仕方によっては、知らず知らずに自らの身体で

ブレーキをかけてしまうことになるそうです。



プロの競輪選手の方から、ペダリング・モニターの数値の改善

という相談を受けたとき、明確な結果がだせるのかと、正直、

疑問だったのですが、数回のセッションの中で、ペダリング・

モニターの数値にも変化が出てきたと伺いました。



ロルファーは普段のセッションのなかで歩行をテーマにします。



ペダリングと歩行とでは、フォームも身体の力の使い方も異なり

ますが、『身体をより機能的に使える状態にすることで、動作の

効率を良くする』という点は、共通項であると考えるに至りました。


生活にも、競技のレベルでも役立つロルフィングを提供できれば

嬉しく思います。



Latitudinous Life: 『ぽる』   (ロルファー 宮原)


2015年3月17日火曜日

断食について 考えてみました

自分の周りで、「断食経験者」が思いのほか多かったので、

すこし興味がわき、まとめておくことにしました。



いろいろ調べてみて、私個人の見解としては、

「断食は、あまり必要ない。

 しかし、普段、食品添加物の多い食事をしている場合や

 食物アレルゲンが何かが不明な場合は、

 断食は役立つかもしれない」

となりました。



断食の起源は、いろいろ有るそうですが、

宗教的な慣習から行われるものが多いようです。

そういった宗教がまとめられた頃の状況は

今よりも、インフラも医学も発展しておらず、

衛生環境は粗悪であったことが想定されます。



インフラの整備が進んでいない状況であれば、

小川や貯めた雨水を飲むよりも、搾りたての

家畜の乳を飲む方が、衛生面でもタンパク質の

摂取という栄養の面でもベターなこともあったでしょう。

(最近では、乳に含まれるカゼインというタンパク質が

 アレルゲンになることも報告されています)



衛生が確保されず、効果的な薬もない中で、

体調を崩したときは、「いっそ何も食べない方が

身体の回復を助ける」ことを、当時の人は経験則として

学んだのかも知れません。



不衛生な食物を摂取することで疲労した内臓や

腸内の免疫環境を回復させるための手段として、

「その当時は、断食は非常に効果的な方法だった」

のだろうと思います。






けれども、人の身体は常に代謝し、新しく作りかえられていて

材料となるタンパク質や栄養が乏しいと、逆に身体に

負担となってしまいます。

内臓に負担をかけないためと断食やダイエットをして、

正反対の影響を内臓に与える可能性もあります。



もし、アレルゲンや過度に摂取することで身体に負担をかける

食べ物がわかっているのなら、その種のものを摂取しないように

したり、摂取量を控えるようにすることの方が身体には無理が

ないようです。

中には、急に摂取を止めてしまうと、むしろ、身体の不調として

体感してしまうようなもの(例:カフェイン)もあるそうなので、

ペースに気をつける必要がありそうです。




内臓を休めるということであれば、食後4時間は間食をせず、

水分摂取のみに止めるということで良いのではないかなと。

食べないにしても、せいぜい半日くらいに止めておくのが

よいのではないかなというのが、自分の理解の範囲での見解です。


私はあまり気が進みませんが、食べ物の有難みを再確認する

ために空腹状態を体験するというのであれば、プチ断食して

みるのも良いかも知れませんね。


新たな知見を得た際は、またUPさせていただきます。


2015年1月26日月曜日

セッション前後には、水分摂取を

普段のセッションの中で、

「セッションの後、特に気をつけることはありますか?」

と、よく質問を承ります。



ロルフィング®は、治療法ではないので、特別な注意点はないのですが、

『ぽる』さんの場合、お伝えしているのは、以下の3点。


・ 普段以上に、過度な運動をしない。

・ セッション効果を上げたり、持続させてくれそうなポイントを1~2つ。

・ 水分を取ること。 カフェインや炭酸の入らない物がベター。



それぞれに、理由はあるのですが、3つめの「水分摂取」については、

最近、改めて重要だなと捉えるようになってきました。



理由としては、ワークを受けた身体の中では、運動した時と同様な

変化が起きてくるので、血液中の乳酸の代謝を助けるために

水が必要となるからです。



また、ワークの効果として、膜組織の柔軟性が回復する背景には、

膜組織に水分が戻る必要があるのですが、その水分の移動には

ヒスタミンが関わるとされています。

ヒスタミンが作用している状況で、水分が不足していると、痛みや

身体の不快な症状が生じやすいのだそうです。



他に関連しそうな事項としては、ロルフィング®に関らず、

マッサージには、細胞内のミトコンドリア(エネルギーを作る働きをする)

の生合成を促す効果があるとされています。 細胞レベルで代謝が

活発な方へ向かうわけですから、やはり、水分は十分にあった方が

良いように思います。



セッションの際の『ぽる』さんの印象としては、脱水傾向のある方は

ワークへの反応が起こりづらいかったり、変化が乏しかったりするように

感じられます。

おそらく、上述のことと関連するからだと思いますが、ただ単に、

のどが渇いているとセッションに集中できないからなのかも知れないですね。



あれこれ書きましたが、『ぽる』さんとしては、

「セッションの前後の水分摂取が大事!!」

を提言させていただきたいと思います。



2014年4月1日火曜日

腹式呼吸について

「腹式呼吸法」として、よく紹介されているのは

息を吸う際に、お腹を膨らまし、息をはく際には

お腹をへこましていくというものです。


「腹式呼吸は、健康によい」という概念が

一般的になっている印象があります。

私自身も、特に疑うことなく、そのように捉え、

信じてもいました。



けれども、日々のセッションを重ねる中で、

「必ずしも、そうではないようだ」と考えが

変化してきました。



その理由として、腹式呼吸を実践しているという方、

特に長期に取り組み習慣化している方は、

胸郭の可動性が低下してしまっていることが

あるのです。

さらに、腹壁を形成する筋肉も伸びきったようになり、

腹壁を適度に緊張させることが難しくなっていたり

します(いわゆる、“ポッコリお腹”ですね)。

そして、そういった状況に対して、自然な胸郭の動きが

できるように促していくと、「空気がいっぱい吸える」

「息が楽になった」という感想をいただきます。

(興味深いことに、ポッコリお腹が解消されていきます)



腹式呼吸の目的は、「呼吸の際の、横隔膜の働きを

意識し、深い呼吸をすること」であると理解しています。

そして、病気だとか、意識がないとか特殊な状況でなければ、

呼吸の際、横隔膜が全く働かないということは考えにくい

ものです。

従って、「横隔膜の働きを意識~」が目的なのであれば、

ことさら、お腹を膨らませたり、ひっこめたりするような

運動をする必要はなく、

「身体の力を抜きやすい楽な姿勢をとり、呼吸に伴って

下腹部のあたりも微かに動いていることに意識を向ける」

だけで十分だろうと考えるようになりました。

更には、「下腹部ばかりでなく、胸郭を含めた体幹

全体が微かに動きながら呼吸している」ということも

大事なように思います。

ポイントは、「お腹を動かすことよりも、お腹の動きを

感じられるようなリラックスした状態をつくること」に

なります。


結局、忙しい毎日の中で、「呼吸が浅くなっていないか」と

時折、自身の身体に関心を持つことが大事なようです。





2014年3月30日日曜日

鼻の通りと 首の関係

セッションの際、呼吸に関わる部位に

働きかけると、“鼻の通り”が良くなった

ように感じることがあります。


単純に、胸郭の動きがよくなり、肺に

出入りする空気の量が増えたためだけ

ではないようです。


というのは、頸部(首)の緊張が取れた時にも

“鼻の通り”が良くなることがあるからです。


身体の認知という面からみれば、リラクゼーションが

得られた時に、普段よりも、より繊細な身体の感覚に

気づくことができたと考えることができるかも知れません。


身体の構造の変化という面からみれば、

頸部のアライメント、つまり、頭から肩にかけての

並び(姿勢)が変化することで、身体の中の

空気の通り道(気道)、特に鼻から喉の部分に

変化が起こるからではないかと考えています。


また、頸部の上位(頭に近い部分)のアライメントや

保持の状態が変わると、自身の呼吸音が急に大きく

なったように感じることもあります(最初は、耳障りに

感じますが次第に落ち着きます)。

これは、気流の変化という要因のみでは、説明が

難しいように思います。

頸部への働きかけにより、耳の聞こえ方が

良くなったという報告もあり、恐らくは、耳管

(耳の中と喉の奥とでつながる管)の開閉の程度

が影響するのではないかと考えています。

耳管というのは、体重の増減などでも、開閉の程度が

変化し、耳鳴りの原因になったり、さらには、

めまいを伴うメニエル氏症候群といわれる症状の

原因にもなったりすると言われています。


頸部のアライメント不良が、肩や首の緊張に伴う不快感

ばかりだけでなく、鼻や耳の機能にも関係するかも

知れないという興味深い現象です。

理解を深めていきたいと思います。



2013年10月18日金曜日

ロルフィング® の効果あれこれ

ロルフィング® の効果について、お問い合わせいただくことが

あります。

セッションを体験した方の感想としては、

「なんだかわからないけど、身体がいい感じになる」と

いうのが、率直なところのようです。


私自身は、理学療法士の資格を持つので、医療者従事者として

「医療の場で役立てることはできないか?」という視点で

自分のワークの効果を考えることもあります。

その視点で観た時、気づくものを以下に挙げます。


・ 生理学的リラクゼーション反応を得ることができる

 生理学的リラクゼーション反応とは、心拍と呼吸のペースが

 遅くなり、血圧も下がり、筋肉の緊張がとけるといったものです。

 これは、セッション毎に認められ、かつ、セッションを重ねることで

 反応が得やすくなる印象があります。

 生理学的リラクゼーション反応が得られた状態では、脳も休息を

 とるといわれ、日常のストレスや自己コントロールによる疲労から

 回復するのに最もよい方法のひとつだそうです。



・ 慢性的な症状の軽減

 年単位で比較したとき、以前より慢性的な症状がコントロールされて

 いると感想をいただきます。

 ここでの慢性的な症状とは、腰痛(繰り返されるギックリ腰を含む)、

 肩こり、頭痛、喘息による呼吸苦、身体の冷感(冷え性)、

 全身倦怠感や疲れやすさなどを言います。

 また、これらの症状には、医療的な処置が必要なことがありますから、

 事前に医療機関で検査を受けられることを、お薦めしています。



・ 自動関節可動域の拡大

 運動するときの関節の動く範囲を、関節可動域といいます。

 自動関節可動域といった場合は、他者の助けを借りずに動くときの

 関節の動く範囲ということになります。

 自動関節可動域が広がる前提として、他動関節可動域の拡大が

 あるのですが、他動関節可動域が拡大しても、痛みや運動のクセ

 などの要素が絡み、自動関節可動域が拡大しないことがあります。

 ロルフィングでは、自動関節可動域の拡大が比較的容易に得られる

 印象があります。

 これは、リハビリテーション場面において、理学療法士としては、

 とても重宝するものです。

 また、四肢(手や脚)の関節可動域が広がることも大事ですが、首や

 背中、腰といった脊柱・体幹の関節可動域が広がると、かなり身体は

 心地よく感じ、日常の不快感も減るものです。

 自動関節可動域が変わることは、運動様式(動き方)も変化するとも

 いえると考えます。他者が受ける印象や体型にまで、変化が認められる

 こともあります。

 

・ よく眠れるようになる

 就寝時のつらさなどを感じる方も、いらっしゃいます。 セッションの中で、

 睡眠時無呼吸症候群の傾向をお持ちと気づき、お伝えすることもあります。

 また、単純に仰臥位(仰向けで寝ること)がつらい方もいらっしゃいます。

 歯ぎしりなども、就寝時のつらさのひとつでしょう。

 セッション後の生活の中で、そういった就寝時のつらさが軽減しているのを

 感じると感想をいただいています。



興味深いのは、セッション直後よりも、その後の生活の中で、上述したような

効果が、深まっていくのを感じるとおっしゃる方が多いことです。


以上、理学療法士の視点で、ロルフィングの効果について考えてみました。

理学療法士(医療従事者)としての視点で、関心を持ち続けたいというのは、

私個人の興味の範囲を出るところではありません。



ロルファーとしては、身体のバランス(主に膜組織系の張力のバランス)に

興味を注ぎ、身体や生命、そのものを尊重していきたいと思います。

もちろん、日々のセッションを楽しみ、出会いや関わりの妙に感謝して

いきたいとも思っています。


クライアント様の期待や感心の持ち方、効果判定の尺度、現状を変えたいと

望む気持ちは、それぞれです。

ロルフィングの効果を、どう感じるかということについては、クライアント様に

委ね、それぞれのペースで楽しみ、親しんで頂ければと思うのです。






2013年10月6日日曜日

母になることによって起こる身体の変化

産前・産後のエクササイズの必要なことは、

一般的に言われるようになっています。



妊娠中の方や、産後2年目くらいまでの方と

セッションして感じることは、

「その時期の女性の身体は、とても変化しやすい」

ということ。


ワークへの反応が、とても早いし、速いのです。

まるで、ワークを受けなれた人のような反応の良さ、

言い換えれば、敏感さがあります。



おそらく、ホルモンの影響が多いのだろうと考えていました。

エストロゲンやプロゲステロンというホルモンの分泌量が増える

ことはよく知られています。

また、リラキシンというホルモンは、「関節を緩める」作用を

持つそうですから、身体のバランスにも影響しそうです。



妊娠中は、約1年の間に、体重や体型が変化するので、

身体のバランスに影響しそうなことは、想像が易いです。

これに、リラキシンの影響があるのだろうと考えていましたが、

リラキシンの分泌は、「妊娠3ヶ月~産後2,3日」と「月経前」なので、

産後への影響は少ないことになります。

エストロゲンやプロゲステロンも分泌量が減り、気分の不安定さ

などの一因になるだろうと言われています。





すると疑問になってくるのが、

「産後2年目くらいの方のワークへの反応の良さ・敏感さ」です。

「子育てに追われているから」なのかなと考えましたが、

一般的に、「疲れている方の身体は、反応が鈍い」ものです。

きっと、身体が変化するにもエネルギーが必要なのでしょう。

疲れが蓄積していると、いわゆる“ガス欠”状態で、変化する

ためのエネルギーも生み出しづりらいのかも知れません。

では、なぜ、「反応が良い」のか?

おそらく、日々の子育ての中で、お子さんを抱き上げたりする

ような動きが、「ほどよい全身運動になっている」のだろうと

考えました。




ただ、反対に、その時期は、ご本人が、意識するしないに関わらず、

「変化に翻弄される時期」でもあります。

腰や肩、あるいは全身が重く感じるようになったり、お腹の張りが

きつかったり、眠れなくなったりといったことを体感することになります。

より具体的にいうと、腰から腿(腰部から股関節)にかけての左右差が

生じていたり、背骨の動きづらさや捻じれなどが生じていたりと

いったことに、セッションの中で気づきます。



母になり、小さなお子さんと関わるのは、時にストレスともなりますが、

良い刺激と運動の機会を与えてくれる営みでもある。



。。。。。といったことが、

「妊娠中や産後2年くらいまでの方の、ワークへの反応の良さ」

の背景にありそうだと考えがまとまってきました。